継手と仕口という言葉は、なかなか聞きなれない言葉ですが、木材同士の接合のための加工の事を総称して使う言葉と考えても良いと思います。木材を接合する場合には、接合の状態によって次のような区別があります。
- 継手(つぎて):木材の木口の接合。木材を長手方向に継ぎ足す加工。
- 矧手(はぎて):木材の木端の接合。板材などを横方向に継ぎ足す加工。
- 接手(つぎて)・仕口(しぐち):木材に角度を持たせて継ぐ加工。
- 組手(くみて):箱を作るときのように板材を角度を持たせて継ぐ加工。
1. 継手(つぎて)の種類
継ぎ手とは部材を長手(長さ)方向に結合する方法です。建築では木材を長手に継ぎ足す事が多いですが、家具ではそれほど長い材料を使うことも少ないので、見る事も少ないかもしれません。以下の例では、いずれも接着剤で接合する為、接着面を広く取って接着剤の効力を高める為の継ぎ方です。
- スカーフジョイント(そぎ継ぎ):木材を斜めに切削して接合します。曲げ木椅子の座など円形の部材にした場合のジョイントに使われます。
- フィンガージョイント(指型組み継ぎ):そぎ継ぎの一種で、機械加工による精密な継ぎ手です。木材木口をジグザグに指型に接合することで、接合度を大きくしたもの。集成材のテーブルトップ(甲板)などの継ぎ手に使われます。
2. 矧手(はぎて)の種類
小板を継いで平板にする場合など、板材を水平に結合する方法です。床や塀などの建築に多い継ぎ方で、次のような種類があります。
- 芋矧ぎ(いもはぎ):加工無しで突きつけて接合する方法です。テーブルの甲板に使用する集成材は、縦方向にフィンガージョイントなどの継手を使い、横方向は芋矧ぎに並べて接着しています。端部は端ばめで固定する事もあります。
- 本核矧ぎ(ほんざねはぎ):板の木端(こば)を凹凸に加工してはめ込む方法です。フローリングの床材でお馴染みの方法です。
- 雇い核矧ぎ(やといざねはぎ):板の木端を凹に加工し、別の部材を中にはめ込む方法です。
- 相欠き矧ぎ(あいがきはぎ):板の木端を同じ形に欠いて接合する方法です。
- だぼ矧ぎ(だぼはぎ):だぼを使って接合する方法です。
3. 接手(つぎて)・仕口(しぐち)の種類
矩接ぎ(かねつぎ)
木材の木端と木口を接合するもの。椅子の脚と貫、背束と背貫などの接合に見られます。大きく分けて、ほぞ接ぎとだぼ接ぎに分かれます。
- 四方胴付(どうつき)ほぞ:四方に胴付がまわったほぞ接ぎ。最も一般的に用いられる方法です。
- 小根付(こねつき)ほぞ:ほぞ接ぎに小根をつけることにより、接合の時のねじれを防ぐ方法です。
- 両面腰ほぞ:腰形つきの接合で強度も高く、両面に飾り面を施す場合の代表的な接合方法です。
- だぼ接ぎ:現在最も多用されている接合方法。堅木でできた丸棒状のもので接合します。機械木工加工の代表的な手法です。
留め接ぎ(とめつぎ)
木材の木口同士の結合で、斜めに切り合わせて木口を外に出さない接合方法。額縁または収納家具の扉などの額縁状装飾の角部に多く見られます。雇い核(やといざね)などで接合部を補強しますが、接着剤で留めてしまうことも多いです。
- 雇い核(やといざね)留め接ぎ:留め付け代に雇い核を留め、枠の内側から差し込み、留めの接合を補強したものです。
- 挽込み(ひきこみ)留め接ぎ:留め端の挽込みに薄板を差し込んで、接合度を一層大きくしたものです。
- 雇い核大留め接ぎ:大留め付け代に筋違い状に雇い核をはめ、接合度を大きくしたもので。内側からの見かけの良さを必要とする所にも適します。
相欠き接ぎ(あいがきつぎ)
フラッシュ構造の内部などで、木材が十字状に交差する場合、お互いを凹状に同じ形に切り込んで組み合わせます。このような方法を相欠き接ぎといいます。
3. 組手(くみて)の種類
板材を直角に組み合わせる組手(くみて)は、収納家具をはじめ、家具では最も多く用いられている方法と言えます。ここでも、量産に適しただぼ組手が最も普及しており、三枚組手、包み蟻(つつみあり)組手のような加工の難しい方法は、少なくなってきています。